リリウム(百合花)が「出来」、サンバリズムとメタルリフで台湾のメディアの混乱を反映したシングルをリリース

Sep-30-2023

2021年にリリースした2ndアルバム『不是路(Road to...)』が第33回金曲奨で最優秀台湾語アルバム賞を受賞したロックバンド、百合花(Lilium)。彼らはその栄誉にとらわれることなく、さまざまな音楽スタイルを取り入れ、進化を続けています。

そんな百合花が9月にリリースしたシングル『出来』は、ジェン・ゲジュン(鄭各均 a.k.a. Sonic Deadhorse)がプロデュース、Flesh Juicer(血肉果汁機)のギタリスト、Mattがミックスを担当した、ヘビーメタル色の強い楽曲です。タイトル『出来』は、台湾の台湾の定番的インターネット・ミームに由来し、被害者の怒りを表します。権力を持つ加害者がメディアを悪用して論点をずらし、犠牲者が正義を求めることができない状況を表現。「Come out(外に出て)」には、後に続く「立ち向かって」という意味も込められており、こうした状況でよく使われてます。また、台湾のイントネーションに合わせてヴォーカル・ラインとメロディが作られました。

 

『出來』は低音の効いた、ヘビーなディストーションから始まり、複雑なヴォーカルラインが簡単な歌詞を繰り返します。70年代のプログレッシブ・ロックを思わせるキーボードとギターも印象的。楽曲は後半からラテン調のドラムへと変化し、「左に曲がる、右に曲がる」という歌詞が加害者の責任転嫁を揶揄しています。そして、ジェスロ・タル(Jethro Tull)を彷彿とさせるフルートソロが入ってくるのも新鮮で、リスナーを飽きさせないスリリングな音楽体験へと誘います。