羊文学インタビュー in 台北!気になる台湾、そしてアジアのカルチャーとは?

Sep-15-2023

 

羊文学は塩塚モエカ(ギター/ボーカル)、河西ゆりか(ベース)、フクダヒロア(ドラムス)からなるオルタナティブロックバンド。2017年に現在の編成となり、2020年にはF.C.L.S.(ソニー・ミュージックレーベルズ)よりメジャーデビューを果たします。2022年に台湾のシンガーソングライター、LÜCYとのコラボレーション楽曲『OH HEY』をリリースし、Zepp New Taipei(新北市)で開催されたライブイベント「神仙組合」にも出演するなど、台湾での人気も高まっています。

そして今年の3月、香港の音楽フェス『Clockenflap Festival 2023』にも出演。その活動の幅をアジア圏へと広がりつつあります。そんな羊文学が、6月21日(水)、台北・Legacyにて自身初の海外ワンマンライブを開催。Taiwan Beats編集部は台湾を訪問中の彼らにインタビューを行い、台湾やアジアの音楽、カルチャーについて語ってもらいました。



―羊文学にとって初の台湾公演となったのが、昨年11月、Zepp New Taipei(新北市)で開催されたライブイベント「神仙組合」ですよね。それ以前は、プライベートも含めて台湾とどのような関わりがありましたか?

塩塚「一回だけ旅行で行ったことがありました」

河西「行ったことなかったんですけど、リスナーに台湾の人がいることはグラフに出ていて(※1)。あとYouTubeにも台湾からコメントが来ていたり」

※1 音楽配信では、アナリティクス(分析)を見ることでリスナーの国や性別、年齢など、その属性を見ることができる

 

―すでにリスナーがいることは認識されていたんですね。フクダさんはいかがですか?

フクダ「高円寺で開催されている『Total Feedback』というシューゲイザーイベントに台湾のバンド、ドゥードゥル(Doodle)が出演していて、(台湾に)興味を持ちました」

 

 

―台湾には当初どのようなイメージを抱いていましたか?

塩塚「ごはんが美味しそうとか(笑)友達も旅行で九份に行ってたり」

 

―実際に来てみて感じたギャップはありますか?

河西「車が強い…(笑)」

―確かに…(笑)。初の台湾公演、いかがでしたか?

河西「オーディエンスから元気をもらったというか、聴き方が自由でいいなと思いました」

フクダ「共演した方々のSEとかも、僕が好きなダイヴ(だったり、音楽的に通じるものがあったので楽しめましたね」

塩塚「羊文学を知ってもらえていると思わなくて、ライブ終了後、物販の所にいたら、大勢の人が並んでくださっていて…どうしてここまで聴かれているんだろうと驚きました」

 

―台湾は日本と似ているところもある一方で、全く違うところもあり、そういった二面性も魅力だと思います。ライブや音楽以外で印象に残ったことはありますか?

塩塚「ヨウヨウカー(Easy Card)(※2)です。日本にもPASMOがあるんですけど、デザインが一種類で、可愛くなくて(笑)。ヨウヨウカーはデザインも豊富で、キーホルダーになってたりするのが面白くて。コンビニにタイとかアジア各国の商品が売ってたりするのも面白いですね。あと、チェーン店もあるけど、個人でやっているお店もいっぱいあって。私は昨日、生活雑貨店のようなところでシールを買いました」

 

※2 台湾の交通系ICカード。台湾全土の公共交通機関や一部のコンビニ、飲食店、ショッピングモールなどで利用可能

 

―今は日本にも台湾にもアジア諸国からの移民が結構いて、現地の味が楽しめる本格派のアジアンレストランも最近は増えていますよね。音楽のみならず、アジアのカルチャー全般について、気になっているアーティストや作品はありますか?

塩塚「結構、韓国のミュージシャンで好きな人が多くて、ミーニングフル・ストーン(Meaningful Stone)とか、あとイー・ランさんやバルミング・タイガー(Balming Tiger)も好きです」

フクダ「world's end girlfriendの方が音楽を担当した『星空』という台湾の映画ですね。台湾の作家、ジミー・リャオ(幾米)による絵本『星空』が原作なんですけど、すごく好きでした」

河西「アジア圏のホラーとか気になってます(笑)。今まではヨーロッパとかのゾンビ映画を見てたんですけど、アジアのお化けとか幽霊とか、西洋との文化的な違いが感じられるので、気になっていますね」

 

―先ほどフクダさんが台湾のバンド、ドゥードゥル(Doodle)について言及されていましたが、改めて皆さんが台湾で気になっているアーティストや、コラボレーションしてみたいアーティストがいれば、教えてください。

塩塚「昨年まだコロナ禍でツアーができなかった時、リン・イーラー(林以樂 a.k.a. SKIP SKIP BEN BEN)さんとリモート対バンしたんですよ。それで、この前台湾に来た時、直接お会いしてすごく素敵な方だったので、次回は普通にちゃんと対バンしたいなと思います」

河西「普段から台湾のバンドを結構聞いてるんですけど、落差草原WWWWというバンドが一番好きで。でも日々、色々とチェックしていて、最近かっこいいなと思ったのはジェイドアイズ(孔雀眼 JADE EYES)ですね。あとアワー・シェイム(凹與山 Our Shame)も良かったです」

フクダ「以前にも台湾で話したのですが、透明雑誌は好きですね。あとは幾何学模様のラストライブに出てきたMong Tongなども好きです」

 

―今年の3月には香港で開催される音楽フェス「Clockenflap Festival 2023」にも出演されました。このように海外で活動の幅が広がっていることについてどう思われますか?また、日本で活動を始めた当初は海外も視野に入れていたのかについてもお伺いしたいです。

塩塚「考えてはいましたよ、海外も。でもやっぱり、アジア圏の方たちが聞いてくださるので、アジアから行ってみようということになり」

 

―今後もそういったオファーがあれば積極的に受けていきたいですか?

塩塚「そうですね、海外には行きたいです」

 

―日本語で歌われていますが、海外で音楽だけでなく、詩の内容を含めて伝えていくために工夫していることはありますか?

塩塚「どうなんですかね…日本語しかできないし、あんまり考えても仕方がないので、どうしようもないとは思ってるんですけど。英語ができて、歌が歌えて、詩を書ける友達がいて、その子に時々、英語バージョンを作ってもらったりしてます。ただ、私は別に歌詞が何を言っているのか分からなくても聴くので。そもそも歌詞をあんまり重要と思っていないというか…(笑)なので、ライブをしに行くっていうのが地道だけど、一番かもしれないですね。どんな顔で歌っているのかとか、演奏の仕方だとか、そういうことで伝えていくしかないのかなって。

けど、簡単じゃないなとは思います。たとえば、台湾だとMCで日本語を話しても分かってくださる方が割といるんです。そういう意味で、温かい場所だし、距離が近いなと感じるんですけど、それが英語圏に行った時、同じように分かってもらえるかというと、あまり…。昔カナダでツアーした時に感じたことですけど。

『日本』、『アジア』、あるいは『ガールズバンド』とか、男の子いるんですけど(笑)、そういった枠を気にしないで振る舞う、ということを頑張ってきたっていうか、そういう風にやっていけたらいいなとは思います」

―ということは台湾のバンドを聴く時も、歌詞は分からなくても、メロディーとかサウンドそのものを楽しんでいるということでしょうか?

塩塚「そうですね、歌詞の意味を調べたりすることもありますけど」

 

―昨年はLUCYとのコラボレーション楽曲『OH HEY』をリリースされました。今後も台湾のみならず、海外のアーティストと積極的にコラボレーションしていきたいと思いますか?

塩塚「していきたいですね。LUCYとコラボレーションした時は、LUCYが作った曲の空いている所に私が日本語の歌を入れて、アレンジについても、こっちから案を出したり。日本のミュージシャンにも、作った曲をアレンジし直してもらったりしていて、いろいろと発見があるので、もっと色んな方と色んな形でやってみたいです」