海を渡って、音楽で心臓にあたるフィスト ── Major in Body Bear インタビュー

Jan-23-2024

J-Rock やポストロック、フュージョン、シャズ、ブラックミュージック等幅広いジャンルからインスパイアされ、Myles (Guitar)、Seadog (Bass)、Yifan (Piano)、Andy (Drums) による四人編成のインストゥルメンタルバンド體熊專科 Major in Body Bear、緻密で複雑なアンサンブルの中、表情豊かで美しいピアノ音とエフェクトを駆使したギター、及び繊細さと激しさの両方を内包するドラムが重なり紡ぎだすエモーショナルなサウンドは、聴き手の感性を揺さぶりながら、演奏力の高さと展開が予測できないスリリングな楽曲で台湾のインディシーンにて高い注目を集めている。

「太陽光でロックする”をキーワー」に、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーのみを使って運営するロックフェスティバルとして今年も岐阜県中津川に数多くのアーティストを迎える The Solar Bodokan は、2023年の開催にて再び Major in Body Bear を招いた。2020年にオンラインで出演して以来、現地には初登場となり、そして唯一の海外代表アーティストとして大きな反響を呼んでいた。

海を渡って、香港、岐阜、大阪、上海、杭州など都市のライブを成功に実現し、そして台湾を戻って年末ワンマンツアー「FIST」で 2023 年を納めた Major in Body Bear は、同時に待望された四年ぶりのアルバムリリース決定という情報を披露した。今回の Taiwan Beats では、Major in Body Bear 今回日本で出演できた心境と今後の音楽活動について、メンバーの4人にじっくりと話を訊いた。

Major in Body Bear (體熊專科) メンバーの4人。
Seadog(ベース)、Andy(ドラム)、Yifan(ピアノ)、Myles(ギター)(左➝右)

 

—— 今回の来日は、2019年の東京ライブから四年ぶりの出演です。岐阜県のフェス「中津川 THE SOLAR BUDOKAN」に呼ばれて再び日本へ、皆さんのお気持ちはいかがでしょうか?

Myles (Gt):とても光栄です。

Yifan (Piano):ワクワクしていました。会場の雰囲気は素晴らしく、大好きな日本のバンドたちと同じステージで演奏できることには嬉しい限りです。

 

—— 中津川 THE SOLAR BUDOKAN は確か、2021年にもオンライン開催で一度呼ばれましたね。

Myles (Gt):そうなんですね。今回は2回目の参加なのですが、実際に会場での出演は初めてです。ずっとどんな風景でしょうかと思いながら、もう一度誘われて本当によかったです。

Major in Body Bear の創作は日本の音楽と文化から深く影響を受けており、日本に来れることは僕にとって。2021年のオンラインでの参加後、無事にコロナ禍を乗り越えて中津川のステージに来られました。いろんなところで細かい気遣いをいただき、本当に感謝しています。中津川のライブが終わったら、すぐまたここでライブしたいという気持ちになりました。

Seadog (Ba):フェス会場の各配置はとても理想的で、演奏以外にも観客としていくつかのショーを楽しむことができ、本当に楽しい一日を過ごしました。特にキッズゾーンは目を見張るものでした。

Andy (Dr):前回の日本での公演からもう4年が経ちましたが、THE SOLAR BUDOKAN に誘われた時は本当に嬉しかったです。そして今回のライブ経験もとても素晴らしかったです!未来に機会があれば、こんな素晴らしい音楽フェスティバルにたくさん出たいです。

 

—— 日本でフェスの出演は初めてでしょうか?以前のライブ経験と比べて、中津川 THE SOLAR BUDOKAN のライブは何か異なるところがありますでしょうか?

Myles (Gt):ステージのスタッフは素早く適切な対応はとても安心感を与えてもらい、フェスの他のスタッフもとても優しく親切でした。さらに感動的だったのは、観客の反応も暖かくて、ライブが終わった後も拍手がしばらく続いて頂き、とても心温まるものでした。

Seadog (Ba):日本でフェスの出演は今回で2回目です。細かい部分にいちいち確認してもらえて、時間を厳しく守るという日本の仕事文化から重視されることを深く感じました。スタッフたちもほぼ優しくてプロの方でした。

Yifan (Piano):ステージの準備エリアに機材の仕分けをしっかり作られ、バックステージ見るととても安心感を感じます。そして前の出演者 DUCKHOUSE というバンドのドラマーが、ちょうど私と同じく神戸の音楽学校を通った後輩だったので、まさかここで再会したできるなんて驚きました。

 

—— 中津川 THE SOLAR BUDOKAN で何か印象的なことがありましたか

Myles (Gt):キッズエリアで子供向けのバイオリン体験レッスンを行っているテントがあって、それは可愛すぎて最高でした。太陽光発電のエネルギーを活用したロック・フェスなので、ソーラーパネルで囲まれたメインステージも印象的でした。さらに主催委員の佐藤タイジさんから手書きのカードを頂いたんです。好きな日本アーティストのライブもたくさん見ました。僕にとってまさに夢を叶えた旅でした。

Seadog (Ba):初めて打首獄門同好会のライブを見ました。THE SOLAR BUDOKAN のおかげでファンになってしまったんです。

Yifan (Piano):用意していただいたケータリングは最高でした!

Andy (Dr):僕らが出演したステージのすぐ隣はフードエリアです。出演時間もちょうどお昼くらい、いい匂いがずっと漂ってきて、リハしながら仕方なくペコペコになってしまったのです。ライブ後はもちろんたくさん頂きました。

 

—— 今回日本での出演は中津川のフェスだけでなく、自主企画の大阪ライブも開催なさいましたね。対バンのアーティストについてどう思いますか?

Yifan (Piano):Isana Jukebox は僕が日本に留学した時期に、同期の友達が組んだジャズバンドです。僕は今年の高槻ジャズストリートを参加して、その時初めて彼らのライブを見ました。グルーヴ溢れて情熱が伝わってくるライブでした。台湾ではファンクミュージックをメインで創作するインストゥルメンタルバンドがないし、「僕は音楽学校を通ったとき彼らとこんな音楽を作ったよ」という気持ちで一度メンバーに聞かせたかったし、だから今回のライブで誘いました。

Myles (Gt):Yifan 同期の友達は組んだバンド Isana Jukebox のライブはとても流暢でした。paranoid void は以前一度台湾で対バンしたことがあって、スリーピース編成なんですけど編曲も

テクニックも素晴らしいマスロックバンドです。ミュージシャンとして自分に足りない部分をどう埋めるかと考えつつ、観客としてライブを見るのをしっかり楽しめました。

 

—— 大阪には、何か思い出やおすすめな穴場スポットがありますか?

Myles (Gt):大阪だったら、大阪に着くと元気になった Yifan と熱い観客を思い出しますね。特に印象的なのは 2019 年心斎橋 CONPASSでのライブです。ここでいいライブを作ってたくさんの友だちができました。

Yifan (Piano):台湾から大阪へ旅行する友たちがいれば絶対に海遊館をおすすめします。中之島も散策にはグッドチョイスです。12月に光のルネサンスというイルミネーションイベントがあります。僕が昔行った時には夜の屋台などもあって、とても賑やかでした。もう一度行きたいです。

Andy (Dr):大阪に行くとかならず PARCO に行きますね。

 

—— 今回のスケジュールは短かくて二箇所しか行けなかったんですね。今後もしツアーでまわる機会がありましたら、日本のどの都市に行ってみたいでしょうか?

Myles (Gt):東京、大阪に限らず他の都市にも行きたいですね。

Seadog (Ba):僕もです。もう一度東京と大阪にライブしたいです。ツアーで来れたらと思います。

Yifan (Piano):僕は神戸に留学したので、ここで多くの思い出があるし神戸の音楽シーンもいてみたいです。

Andy (Dr):日本だったらどこでも行きたいです(笑)

 

——  年末ワンマンツアーを迎えて、タイトルの「FIST」を直訳するとこぶしという意味です。「あなたたちは一つの拳、ワンパンチで心臓にあたる。」というツアーのコンセプトテキストも印象的でした。次のレコーディング作品に収録予定の新曲もライブで初披露されたそうですね。どんな作品でしょうか?

Myles (Gt):そうなんですね。その時公開された曲は「This fight should be mortal」(死ぬべき運命の一戦)、「自分の命をかけて誰かと勝負する」みたいな感じの曲ですね。曲を完成してデモを初めて母に聞かせた時、日本のヤクザ映画に連想したって言われました(笑)僕にとっては率直でかっこいい曲だと思います。

 

—— 年末ライブで新曲を披露した心境はいかがでしょうか?これからの新作で挑戦したいことがありますか?

 Myles (Gt):ワンマンは公開にはいいタイミングと思いますし、僕らの新たな一面を早く見せたいですね。驚かせることはよくあったんですが、お客さんの熱いリアクションから自信をたくさん持たせられて、これからの製作をもっと頑張れるようになりました。次のアルバムは、Major in Body Bear の両面性を極端的に表現しながら、暴れと怒りはより重く、優しさと悲しみもより強く、獰猛な緻密の一面を見せることを実現しようと考えています。

『Topic 2: 關係 Relationship』アルバムではサックスを編成に入れることのよう、今回も新しい楽器の音色を収録しようと考えつつ、長年の念願を叶おうと思う...。それはなんだろうかとまた話せないので、とりあえず楽しみにしていてください(笑)

 

—— 最近お気に入りの音楽作品かミュージシャンはいらっしゃいますか?おすすめして下さい。

Myles (Gt):台湾のバンド問題總部(it's your fault)のニューアルバム『User Guide : I』をよく聞いてます。日本のアーティストだと、coldrain をめっちゃ聞いていたんですね。昨年の台湾公演も見にいったんです。ライブもとてもかっこよかったです。 

Seadog (Ba):2000s のJポップかロックバンドを聴き始めた。例えば ORANGE RANGE の「花」など。 

Yifan (Piano):SOA という日本のシンガーソングライターをよく聞いてます。「Asterism」という曲をおすすめしたいのです。まさかこんな風に書くと思わなかった素敵な曲です。

Andy (Dr):最近のお気に入りは Tokimeki Records です。

 

—— 日本の視聴者へメッセージを一言いただけますでしょうか。

Myles (Gt):日本の音楽と料理、カルチャーから僕にいつも多くの養分をもらったから、僕の大好きな音楽で日本ともっとお繋がきできましたら嬉しいです。

Seadog (Ba):日本が大好きです。ビッグラブ!

Yifan (Piano):これから新作を日本の皆さんにお伝えできることをとても楽しみにしています!お待ちください。

Andy (Dr):Major in Body Bear をフォローして僕らの音楽を多くの人々にシェアしてくださいね。

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インタビュー・テキスト:楊惠婷 Keitei Yang

撮影:渡邉隼 Hayato Watanabe