気鋭の台湾人ラッパー/詩人、マーキー・ゴースト(周穆/Murky Ghost)|オランダ・ロッテルダムのMOMOフェスでの体験を語る

Apr-28-2023

マーキー・ゴースト(周穆/Murky Ghost)は台湾のラッパー/詩人。彼女は現代詩のようなラップスタイルを開拓し、ラップとスポークン・ワードを組み合わせたその独自の音楽性が注目を集めている。その歌詞は感情的かつ詩的で、ジャンルにもとらわれず、聴衆を圧倒する実験的なライブを展開している。

彼らは最近、マーキー・ゴーストをリーダーとする6人編成のバンドとして、オランダ・ロッテルダムのMOMOフェスティバルに参加し、。メンバーであるテンダーG(茅睿 忐忑集/TenderG)は、解散したラップグループ、イエロー・ヒッピー(黄嬉皮/YELLOW HIPPY)の一員であり、即興ラップを得意とするラッパー、そして画家でもある。今回、Taiwan BeatsはマーキーとテンダーGの2人にインタビューを行った。

ケア・チェン(Kair Chen) 提供

―今回、オランダ・ロッテルダムのMOMO フェスティバルで、1週間のレジデンシー・ツアーを行うことになった理由について教えてください

マーキー・ゴースト:きっかけは、LUCfest(貴人散歩音楽節)(※1)でした。MOMOフェスティバルのキュレーターの1人であるハリー・ハーメリンク(Harry Hamelink)が、2020年と2022年に台湾を訪れた際、私たちのパフォーマンスを見てくれたんです。LUCfest以外にも台北のFinalで行われたパフォーマンスも含まれていて、それぞれのショーのアレンジが異なっていたことに感銘を受けたようです。

そこで、ハリーは「MOMOフェスティバルと貴人散歩の共同プロモーション」をいう形式で、私たちを今回のレジデンス・ツアーに招待してくれたんです。ハリーとLUCfestの主催者であるウェイニング(Weining)は元々親友でしたし。台湾とオランダの文化の架け橋になってくれたウェイニングには改めて感謝しています。

※1 台北の老舗インディー・レーベル、White Wabbit Records(小白兎唱片)が台南市政も巻き込んで主催している音楽フェス。映画館やギャラリー、公共施設などがステージに様変わりし、街の至る所でライブが楽しめる

 

―今回はマーキー・ゴーストとしてはじめての海外公演となりますが、6人分の渡航費・滞在費はどう工面したんですか?

マーキー・ゴースト:MOMOからの招待状が届いた後、オファー書類を受け取り、その書類では2人分の費用しかカバーされないとわかりました。しかし、私たちはこの書類をもとに、新北市青年局の航空券補助金や文化部の巡回補助金を申請しました。その後、MOMOと貴人散歩からそれぞれ演奏料が計算され、最終的に、私たち6人の1週間の旅費や経費のほぼ全額をカバーできるようになりました。

 

―MOMOフェスティバルではどのようなパフォーマンスを行いましたか?

テンダーG:全部で5回のパフォーマンスを行いました。45分と30分のパフォーマンスそれぞれ1回、さらに20分のパフォーマンスを3回行いました。

マーキー・ゴースト:20分のパフォーマンスは、地元の都市再生プロジェクト「パーファム・デ・ボムボム(Parfum de BoemBoem)」が運営する空きスペースを活用したものでした。私たちは観光客のために3回パフォーマンスを行いました。

ステージでスタンバイし、観光客が訪れる度、パフォーマンスを行い、結果的に3回行いました。深夜の2時に急遽、現地のプロデューサーとのコラボレーション楽曲を演奏したりもしました。この曲は完成次第、近日中にリリースする予定です。現地のメディアからインタビューも2回受けましたね。

あと、私とテンダーGによる英語の歌詞をビジュアル化した演出もありました。私たちの英語力が至らず、表現には限界があったかもしれませんが、現地の観客たちとエモーショナルな部分でより通じ合えたと思います。パフォーマンスやインタビュー以外にも、地元の音楽プロデューサーであるボウ・ズワート(Beau Zwart)、エライジャ・ウォーターズ(Elijah Waters)、ジョピー(Jopie)と一緒にレコーディングも行いました。

パーファム・デ・ボムボム(Parfum de BoemBoem)のサリー・キリク( Salih Kilic) 提供

―この現地の音楽プロデューサーたちと行われたコーラインティング・プロジェクトについても教えてください

マーキー・ゴースト:MOMO フェスティバルが主導するプロジェクトです。今回コラボレーションを行ったボウとエライジャ、ジョピーは音楽的な直感が鋭く、素早い作業能力を持っていると感じました。エライジャは特にメロディーに長けていましたね。

テンダーG:彼らとはとても波長が合ったので、パフォーマンスが無い時間は彼らのスタジオで一緒に遊んだり、音楽を作ったりして過ごしました。

 

―今回のフェスティバルで知り合ったミュージシャンたちとは今後、どのようなプロジェクトを計画していますか?

テンダーG:まずは前述のコラボレーション楽曲のリリースが確定しています。そして、年末にはボウとエライジャ、ジョピーの3人が台湾を訪れる予定です。ヨーロッパのプロデューサーたちは、楽器の演奏能力を必須技能としているの、皆キーボードやギター、ベースなどを演奏できるのはすごいと思います。彼らとはバンドも簡単に組めます。また、私の地元である花蓮市とロッテルダムの長期的な交流計画についても話し合っています。