傷を絆創膏で貼りながら、少年の自分にもう一度会う:WANLONG

 

 

新世代台北インディ/オルタナ・ロックの代表格。そんな呼び声の高い新鋭、WANLONG の 1st アルバム『LONG LONG』がリリースした。2019年に結成され、中華風的な伝統メロディーとポップロックを絶妙に融和し、耳の早いリスナーの間では話題騒然だった。初期の少年マンガ風のキャラクターイメージでデビューした謎多くバンド「萬龍」から一変、欧米系オルタナ・ロック感が溢れる、アルファベットで表示する「WANLONG」になった。

新たな WANLONG は、青春に匂う群青色だ。少年時代を顧みながら、バンドエイド(Bandaid)という言葉を味わい、今までの人生という旅道で転んできた傷を自慢するように、派手に絆創膏で全身につけたアーティスト写真を撮った彼ら。そんなカラフルな絆創膏のように表現した多彩なジャンルを超える音楽性、前作から引き継いた好奇心旺盛な気質、90s/00s オルタナティブロックを彷彿とさせる音をかき鳴らし方、Manic Sheep・粗大 Band・逃走鮑伯(Bob Is Tired)等バンドも掛け持ちしているメンバー、インディーズバンドでは珍しいギター3本の編成など、全部は WANLONG が現在台湾インディ・シーンで圧倒的な存在感を放っている事実に成立する理由だ。

今回、Taiwan Beats では WANLONG が結成から現在に至るまでの成り立ちと、『LONG LONG』に込められた思いをメンバー五人の Jam 龍 (Vo/Gt)、家緯 (Gt)、思岑 (Gt)、阿毛 (Ba)、筱芸 (Dr) にじっくり語ってもらった。

※ 名前音読み:Jam 龍(ジェム・ロン)、家緯(ジャ・ウェイ)、思岑(スー・チェン)、阿毛(アー・マオ)、筱芸(シャウ・ウン) 。

—— まずは WANLONGの結成について聞かせて頂きたいです。どんな経緯で結成されたんでしょうか?バンド名の発想理由もぜひ教えてください。

Jam龍 (Vo/Gt):僕はスタジオで阿毛 (Ba) と知り合い、シューゲイザーバンドを組もうとの考えを相談しながら良いメンバーチョイスのアドバイスを尋ねようとしていたが、俺はどうかなって自己推薦された。昔は僕と一緒のバンドだった家緯 (Gt) と、そのあとフェスで会った逃走鮑伯のギタ/ボーカルの思岑 (Gt) に声をかけた。そして阿毛が初代ドラマーを誘って、萬龍を組んだのです。

Jam龍 (Vo/Gt)

名前は、その時よく通っている 61 Studio というスタジオは MRT 萬隆駅の近くにあり、僕の名前も「龍」があるから、意外にいい響きになっていると思ってた。でも最初は「卍」(=「萬」、読み:ワン)にしたかったが、メンバーに少し中二病しすぎじゃないかって、あとはヒップポップグループに思われちゃうなどの理由で却下された(笑)今は昔やりたかったオルタナロックの元素を入れたくて、今回のアルバムをきっかけにしてアルファベットにしました。

阿毛 (Ba) :当時僕ら五人もラーメンが大好きで、スタジオで作曲するときギターのリフにもよく五音音階を使った。この名前にしたら丁度いいじゃないか!との思いもあり、ネットで検索してみたら同名の日本中華料理屋さんも多くて、それは面白くて決定しました。

 

—— デビュー作《天選TENSION》から今作《LONG LONG》まで、まるで中華料理店から洋風レストランに行ったよう、ジャンルはかなり変わってました。変わるのに決断した理由は何でしょうか?

 

Jam龍 (Vo/Gt):僕ら全員は 2000年代のイギリスバンド Yuck が好きで、それを目標として目指そうと思いながら、シューゲイザーの道へ少しずつ戻りたい気持ちもあって、新しいドラマーの筱芸もこんなジャンルに得意だし、じゃあ WANLONG を新しくしようと決めたのです。

 

筱芸 (Dr)

 

—— みなさんはほかのバンド活動も掛け持ちしておりますね。他のバンドにいる時と一番の違いところは何でしょうか?今後 WANLONG を通じてチャレンジしたいジャンルなどありますか?

 

Jam龍 (Vo/Gt):粗大 Band と WANLONG のジャンルはスペクトルの両側のよう、一つが現代のポップパンク、一つがノスタルジーのオルタナロックですね。僕は音楽をジャンルで限りたくないし、さまざまの音楽で自分をいくつの人格を分けて色んな面を表現するのもしたい。WANLONG にいる時、僕は粗大 Band で実現できないことを自由に試せますし、しっかり落ち着けて、手元の音色表現と演奏スキルを集中できます。

粗大 Band のライブでは、いつもスポーツ選手になった気持ちで、ポップパンクのエネルギーを思い切って表現したいため、ステージで走ったりジャンプしたりして、それはやはり体力の消耗ですね。これから WANLONG で試したいジャンルはシューゲイザーとポストロック。でも確かめるのは、昔のような中華風ロックに戻りたくありません。

阿毛 (Ba) :WANLONG はとても活発ですね。WANLONG のベーシストとして動く頃、いつもメンバーからクリエティブなアイデアをもらえます。それは影響で演奏しているものも自然に WANLONG の形になっていく。僕はほかにやっているバンドは全部シューゲイザーバンドで、シューゲイザーでは轟音と音色の表現が大事にしていて、それも WANLONG に感じた一番の違いだと思います。

 

阿毛 (Ba)

 

家緯 (Gt):僕は神經博士(Dr. Geek)というポストロックのバンドもやってます。WANLONG と違い、神經博士はギター2本の編成で、作曲と演奏するときフレーズをいっぱい埋めることばっかり考えました。WANLONG はギター3本もあって、みんなのスキルも良いしバランスをうまくとっています。なので WANLONG にいるときにそんな悩みが全くありません。


思岑 (Gt)
:僕は元々効率を重視していて、逃走鮑伯(Bob Is Tired)のメンバーもそうだし、音楽活動をセミナーのようにと非常に真面目な感じでしています。でも WANLONG は自由なので、この点は逃走鮑伯とは一番の違いだと思います。僕は最初もバンドの活動リズムをリードしようと考えたが、時間を経って段々気にしなくなりました。WANLONG の影響で僕の性格も丸くなったかもしれません⋯⋯


筱芸 (Dr)
:私にとっては新しい挑戦です。編曲とリズムの構造は複雑ではなく聞こえていますが、実際に演奏すれば面白さを感じられます。これから一枚目の曲も私のスタイルで表現したいです。

 

——  今作『LONG LONG』は 1st アルバムですね。コンセプトを教えていただけますでしょうか。

 

Jam龍 (Vo/Gt):その時よく日常で子供の頃や少年時代の自分を思い出したので、アルバムを準備しているところこのコンセプトをリンクしようと考えて、木彫り創作をしている僕の親友・上杰(Modern Cinema Masterのベーシスト)と相談しました。ちょうど家から7歳に書いた龍の落書き絵を見つけ、上杰に見せたら「それを今のJam龍が描き直したらどう?」って提案された。彼のスタジオの静かな隅で描き直しました。神秘的で癒される時間を過ごしました。本当に過去の自分と会話できた感じになります。アルバムの装丁も子供の宝箱のコンセプトで仕上がりました。

 

——  アルバムを制作していたとき、何か印象的なことがありますか?

 

思岑 (Gt):僕は初めてプロデューサーを担当しました。メンバーの状態確認と細部の協調をした過程が面白いと思います。

 

阿毛 (Ba) :『天選TENSION』を制作したとき、当時のメンバーは完全に自由の状態で創作しました。あまり細かく考えてなく、音を聞いてそのまま直感的にフレーズを出すことはほぼでした。『LONG LONG』ではメンバー別々で曲の一部分を書いて提出し、思岑に少しずつ調整してもらいました。最後に仕上がった作品には僕らも気にいっているし、じっくり聞いたら細緻な部分も多いです。僕にとってはとても印象的で、新鮮な経験でした。

 

Jam龍 (Vo/Gt):実はこのアルバム、家緯が全くレコーティングできなかったです。

 

家緯 (Gt):そうなんです。僕はしばらく出張で花蓮にいたので、レコーディングの日程に合わなくて、仕方なくJam 龍と思岑が録ってくれました⋯⋯。

阿毛 (Ba)、Jam龍 (Vo/Gt)、家緯 (Gt)、思岑 (Gt)、筱芸 (Dr)

 

筱芸 (Dr):フルアルバムのドラム収録をするのが初めてので、それ自体は印象的です。

 

Jam龍 (Vo/Gt):あと家緯は花蓮から小米酒を持ってきたことで心を救えました。

 

家緯 (Gt):一番役立ったことでしたね!

 

——  コンセプトでタイムトリップを思いつきました。もしタイムマシンがあれば、何かしたいことがありますか?

 

Jam龍 (Vo/Gt):アルゼンチンが勝つのをこの前の僕に教えたい。あとは子供時代の自分を遠い所から覗きたいです。

 

阿毛 (Ba) :ビットコインが大事、買っておきなさいって昔の僕に伝えたい。

 

思岑 (Gt):ピアノを習いたい。小さい時から勉強をちゃんとすれば、大人になったら音楽の仕事にも役に立ちます。

 

家緯 (Gt):地下社會(台北最も歴史的なライブハウス)はあったときに戻って、師大公園の路上でビールを飲みたい。もしくは tsmc の株を買うこと。


筱芸 (Dr):私は後悔しやすいので、本当にタイムマシーンがあって過去に戻れば、色々とやり直したいです。

 

——  最近、皆さんは注目しているアーティストを教えてください。

 

Jam龍 (Vo/Gt):Ellegarden の新作がとてもよかった。最近気に入っているのはキタニタツヤです。

 

阿毛 (Ba) :Yu Mamiya という日本アーティストの音楽が面白いと思う。そして New jeans の新曲をめちゃくちゃ聞きました。

 

家緯 (Gt):スーパーカーが好き。この前フェスで見つけた烏兔(WUTU)という台湾バンドがかっこいいです。

 

思岑 (Gt):DYGL

 

筱芸 (Dr):ヨルシカ!

 

——  今後のプランと、日本の視聴者に何か伝えたいことを教えてください。

 

Jam龍 (Vo/Gt):こんにちは。これから『LONG LONG』アルバム全曲のシリーズミュージックビデオを公開予定です。ぜひチェックしてください。いつか日本でもライブしたいです!

 

 

インタビュー・テキスト:Keitei Yang

撮影:Miao Chia Shu (MIAO’s photography)

取材協力:万象 WAN XIANG

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