おうち時間に新鮮さを感じさせる「台湾インディーズ」7曲

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自宅で過ごす日が続くと、息が詰まることもある。疲れやストレスがたまっているときは、まだ聞いたことのない新しい音楽を味わって、家にいながら気分転換をしよう。ゆったりとしたおうち時間に最適な台湾インディーズ7曲をご紹介する。

雷擎 L8ching(レイチン)『薄荷 Mint(ミント)』

「台湾のAnderson・Paak」とも評される、きわめて注目すべきミュージシャン 雷擎(レイチン)。サポートドラマーとして数多くのバンドで活躍する一方で、2018年に自身のバンドを結成し活動を始めた。Erykah BaduやSteve Lacyを彷彿とさせるソウルミュージックと、台湾00年代のアップビートなポップソングの要素をブレンドすることでその独自路線に拍車をかけている。

青春時代に抱いた恋愛感情からインスピレーションを受けて作られた『薄荷 Mint(ミント)」は、どこかノスタルジックな味わいがある。エキゾチックでトロピカルなサウンドを取り入れた、初恋のように純粋で美しい表現が特徴的。

DSPS 『Folk Song For You』

台湾インディシーンの新世代として期待されているギターポップバンド。邦楽から強い影響を受けたDSPSは、日本でもアルバムをリリースしており、シャムキャッツやHomecomingsといった日本のバンドとも2マンライブを実現している。

女性ボーカル 曾稔文(レンウェン/エイミー)の明るく爽やかな歌声と、日常を切り取った日記のような歌詞のリアリティに共感できる。この『Folk Song For You』を収録して去年発表されたミニアルバム『FULLY I』は、前作よりもメロディアスなベースフレーズが軽快な疾走感を生み出し、まるで春の訪れを感じさせるようなアルバムとして仕上がっている。

椅子樂團 The Chairs 『Rollin'On』

活動開始当初は、アコギを基調とした緩やかで暖かみのあるフォークソングを歌うバンドだった。2014年メンバーたちは自転車で台湾一周の旅を始める。原始的な自然が色濃く残る台湾東海岸の原生林と、美しく透き通った海に心を打たれた。地方の自然と文化を通じて得た台湾の風土に対する濃厚な思いを込めて、2016年に初のアルバム《Cheers!Land》を生み出す。

2018年にリリースされた2ndアルバム『Lovely Sunday 樂芙莉聖代』では1960年代洋楽のようなレトロなメロディーを多く取り入れ、多幸感溢れる夢幻的なサウンドを作り上げた。椅子樂團 The Chairsはこの作品で、台湾最大の音楽賞「金曲獎 Golden Melody Awards 2019」においてベストグループ賞を受賞した。

問題總部 It's Your Fault『Day』

問題總部とは「問題がある人たちのグループ」という意味である。2018年から注目され始めた新世代を担う超実力派ニューウェイブバンド。彼らの作品は自身を反映した歌詞に若者の憂鬱や不満をにじませる。さらにアーバンR&B、ジャズとロックが絶妙に融合した高度なテクニックと芸術性を凝縮している。儚く美しい歌声とキーボート、時に静かに時に激しく、感情を投影したようなギターソロが複層的に絡み合いながら独自の感性と個性を放つ。それらが繊細にアレンジされ最高にお洒落でかっこいい曲として仕上がっている。ファーストアルバムは年内にリリース予定。

緩緩 Huan Huan 『I'd better be on time』

2015年結成、オルタナティヴ・ロックインディーズバンドの緩緩 Huan Huanはポストロックに影響を受けつつ、フォークソングを軸に据え、シューゲイザー、エレクトロニックなど様々なジャンルを取り込む。2020年からはシンプルかつ奥行のある音楽をコンセプトとし、4月にシングル『I'd better be on time』をリリースした。ストレートな轟音を響かせた前作とは異なり、素朴な音色と軽快なリズムのアコギが明るい雰囲気を醸し出す。優しく心地よい歌声と違和感のない美しい英語の発音が印象的。ベッドから出られない休日にぴったりな一曲である。

LINION 『Room 335』

2018年より若手アーティストの中で頭角を現し始めているLINIONは10歳から弾き語りを始め、2015年からアメリカの音楽大学ミュージシャンズ・インスティチュート( MI )でベース演奏学科を専攻する。90年代のリズム&ブルースや00年代のネオ・ソウルに深い影響を受ける。帰国後、初のアルバム『Me In Dat Blue』を発表。タイトル曲『Room 335』は留学時代の恋人と故郷に思いを馳せて作り上げた曲である。歌詞に中国の伝統的な漢詩「江雪」を引用してモダニズムとノスタルジアを兼備え、時空を超えた浪漫を感じさせる。

落日飛車 Sunset Rollercoaster 『VANILLA VILLA』

アジアインディシーンが世界に誇る屈指のバンド落日飛車(サンセットローラーコースター)。ボーカル、ギター、ベース、ドラムという基本的な構成に、パーカッション、電子ドラム、サックス、キーボードの演奏を取り入れる。台湾のAORバンド代表として、アーバンでメロウなメロディーとトリップ感の漂うサイケデリックなサウンドを見事に融合させている。ギターやシンセなどが微妙にフレーズを変え演奏するため、少しずつ風景が変わっていくようなドラマティックな展開を味わえる。台湾だけではなく、世界中から大きな支持を得ており、アメリカ、ヨーロッパへのワールドツアーでは各地で入場規制がかかるほどだ。日本では「フジロック2019」に出演。東京でのワンマン公演ではソールドアウトを果たした。2019年にリリースされたEP『VANILLA VILLA』では、サイケな宇宙に吸い込まれるようでありながら、静けさが漂う神秘的なリゾートのような体験ができる。圧倒的な浮遊感にひたれる幻想的な世界観を描き出している。

作者