Ken Yokoyama x Fire EX. 台日対バンライブが大盛況!共に会場を熱狂させるオトコたち

Jun-01-2023

5月11日(木)、Zepp New Taipei で『Zepp Premium ”Ken Yokoyama x Fire EX.”』が開催され、台湾の人気バンド、Fire EX.(滅火器)とKen Yokoyamaが対バンを行った。『Zepp Premium』は、Zepp New Taipeiによる対バン企画シリーズ。Ken Yokoyamaにとっては初の台湾公演ということもあり、会場は開演前から大きな賑わいを見せていた。

まずはFire EX.のライブ。最初はトランペットの独奏から始まり、その意外なアレンジで観客の注意を引くとともに、嵐の前の静けさのような緊張感をも生み出し、大きな歓声が上がった。そしてバンドが登場し、潔く簡潔に挨拶を済ませ、楽曲『欲走無路』を演奏。前方の観客は手拍子をしたり、拳を振り上げたりと、熱狂的に呼応し、会場は早くも興奮に包まれる。演奏と同期するライトが、さらなる臨場感を生み出すとともに、Zepp New Taipeiの音の良さにも気付かされる。

2曲目『Pass Away』では観客に歌わせる一幕もあり、会場は一体感に包まれる。間髪入れずに演奏された3曲目『基隆路』はパワフルなミュートギターと美しいコーラスが魅力。前方ではモッシュも起こり、バンドロゴの旗をはためかせる観客もいた。4曲『南國的風』の演奏後のMCで、ヴォーカルのSamは「昨日、Kenのチームと夕飯を食べ、とてもいい気分でした。夢じゃないかと思う瞬間もありました。生きてきた甲斐がありますし、あと少しで皆さんもそう感じることでしょう!」と語り、新曲『新歌六號』が演奏される。ハイスタを彷彿とさせるポップパンクなチューンで、バンドの底知れない作曲能力を感じさせた。

そして。今回、9曲目に演奏された『人間条件』が本アルバムを象徴する楽曲で「子供たちのための楽曲で、人生におけるさまざまなステージについて歌っています」と語った。最後はラッパーの馬克SAVAGE.Mと阿跨面を迎え、楽曲『無名英雄』を演奏。ソリッドなバンド演奏にパワフルなMCが重なる様は、往年のミクスチャーロックを感じさせ、会場の熱気は最高潮に達した。

ほどなくしてKen Yokoyamaがバンドメンバーたちとともにステージに現れると大歓声が上がった。Kenは基本的に英語でMCを行い、「今回、ここ(台湾)に私たちが来るのははじめて。(私たちの)曲、知ってますか?」とオーディエンスに問いかけるとまたもや大歓声が上がった。台湾でも多くのファンがいることがうかがえた。「プレゼント」とオーディエンスにマイクを放り投げるなど、冒頭から型破りのパフォーマンスを行い、その存在感を見せつけた。

『Let the Beat Carry On』や『4Wheels 9Lives』、『Punk Rock Dream』、『I Won't Turn Off My Radio』といった代表曲の数々を圧倒的貫禄で披露。途中のMCでKenは、近年の台湾と中国の緊張についても触れ、中国人はいい人たちであるという前提に立ちつつも、中国政府の強硬な姿勢に対しては懸念を示した。言葉に詰まった時、スマートフォンの音声翻訳機能を使い、マイクから自分の想いを伝えようとしたところ、「好喝(飲み物が美味しい)」と読み上げられてしまい、観客席は笑いに包まれる。台湾に来ても音楽と人間性でオーディエンスを笑顔にする、そのエンターテイナーぶりに魅了された人は多いようだった。

 

7曲目に披露された『This Is Your Land』は詩の内容が台湾の現状と重なることもあり、その演奏からは切実さが感じられた。Kenが「一緒に歌って、ついてきて!」と語りかけると、オーディエンスも同様の熱量で応え、曲名が何度も叫ばれた。続くMCで、Kenは「Fire EX.は私たちの面倒をとてもよく見てくれて、世界一優しい人たち」と語った上で、今回台湾での公演を行えたことへの感謝を述べた。11曲目に披露された『How Many More Times』はFire EX.からのリクエスト。

その後も熱狂は冷め止まず、Kenたちはアンコールにも最大限応え、Hi-STANDARDの名曲『Stay Gold』を含む6曲が披露された。また、東日本大震災の際、台湾が大きな支援を提供したことにも触れ、感謝の意を示すと共に、近年、複雑な状況に置かれている台湾にもエールを送った。そして、「来年も(台湾に)戻ってきたい」「Stay cool, stay healthy, stay romantic」と語った。