2021年金曲獎(GMA)受賞者発表! 羅大佑の熱いメッセージ「ミュージシャンは歩みを止めていられない」

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2021年8月21日(土)日本時間20時より、「第32回金曲獎」の授賞式が臺北流行音樂中心で開催された。

昨年はまだ台湾現地では新型コロナウイルスの感染は拡大していなかったものの、今年はコロナ禍に苛まれる中で会場変更や日程延期を経ての開催となった。今年も例に漏れず、性別や言語、形態、制作陣まで27部門に分かれての開催となり、参加人数や感染対策など徹底した状況でイベントの様子は配信された。

20時を少しまわった頃に式典はスタート。イベントのオープニングを飾ったのは去年、年度楽曲賞、最優秀原住民語アルバム賞、年度アルバム賞の3部門での受賞を果たしたパイワン族シンガーの阿爆(阿仍仍)。パイワン族の民族衣装を纏ったダンサーと共にエネルギー溢れるパフォーマンスで式典の幕開けを盛り上げてくれた。式典の合間には、昨年の受賞者であるバンド・滅火器やSSW・持修らも登場し、同様に式典への華を添えてくれた。

例年、複数の部門に渡って受賞するミュージシャンはいるが、今年はヒップホップアーティストの蛋堡Soft Lipaは2部門(最優秀華語男性ボーカル賞と最優秀中国語アルバム賞)、卑南族(プユマ族)の歌手・桑布伊(Sangpuy)が2部門(最優秀原住民語ボーカル賞と年度アルバム賞)、曹雅雯が2部門(最優秀台湾語女性ボーカル賞と最優秀台湾語アルバム賞)を受賞した。蛋堡Soft lipaは、受賞に際して壇上で「今回の賞は家族や親戚、天国の兄、竹幫(高校生の頃から組んでいたヒップホップグループ)やヒップホップレーベル顔社の仲間、台湾のヒップホップ、全てに捧げたいと思います」、「(会場に来れなかった母からのコメントで)蛋堡はステージ上では実力があり、努力もするミュージシャンで、勝手気ままな人間であると自称しています。でも実際は勝手気ままな人間などではなく、名声のために自分の初心を変えずに自分のルールとやり方を続けてきたのです」と語り、会場は大きく盛り上がった。

また、桑布伊も受賞アルバム作品『得力量 pulu'em』の制作チームらとともにステージに登壇。家族や関係者への感謝とともに「皆さんが互いに褒め称え、互いに寄り添えますよう。台湾のすべての民族が互いに支え合い、励まし合い、素晴らしいと認め合えば、台湾はもっと美しく、もっと良くなります。コロナ禍ではありますが、皆がもっと元気を持って団結していけますように。ありがとうございました!」と、受賞作品タイトルにも寄せつつ、所感を語った。

曹雅雯(Olivia Tsao)は、今年度の金曲獎で関連作品も含めて8つの部門でノミネート。彼女自身は最優秀台湾語女性ボーカル賞及び最優秀台湾語アルバム賞を受賞、彼女の楽曲「鹹汫」の編曲者・鍾興民の受賞も含めると計3部門での受賞を果たした。最優秀台湾語女性ボーカル賞の受賞コメントでは「ファンの皆さん、いつも応援ありがとうございます。これからも頑張りますので、ついてきてください」と話していたが、最優秀台湾語アルバム賞での受賞も発表されると、興奮のあまり何を話したらいいか分からず「早くお酒を飲みに行きたいです…!」と戯けるシーンも。「これからも頑張ります、台湾語の曲を歌い続けます。皆さんと一緒に私のストーリーを楽しんでいけますように」と、今後の意気込みも語ってくれた。

また、これからの時代を引っ張っていく新世代ミュージシャンを予想させるベスト新人賞は?te壞特(ホワイト)が受賞。2019年のデビュー以来、素性をベールに包んだまま着実に知名度を伸ばしてきた彼女は、チルな楽曲と確かな素養を感じさせ、9m88らと並ぶ若手R&Bシンガーの一角を何う存在。今年大学を卒業したという彼女は、受賞に際して「20歳の頃は私の中に迷いがあって、休学を選択し自分の心の中の声を聞くようにしたんです。皆さんもどうか怖がらず、勇気を持って自分の心が求めているものと向き合ってください。きっとできます」と、自分と向き合ってきた結果としての受賞にしみじみと感激しているようだった。

また、21年前に金曲獎のステージ上で「バンドの時代が来た」というコメントを残した乱彈阿翔。ベストバンド賞部門が設立されてから今年で20年を迎え、その節目に乱彈阿翔とバンド・四分衛のメンバーである阿山からアナウンスされたベストバンド賞は、今や日本をはじめとして世界中にファンを持つインディーバンド・落日飛車(Sunset Rollercoaster)が受賞。同様に日本でのファンも多い盧廣仲(クラウド・ルー)も、楽曲「刻在我心底的名字」で年度楽曲賞を受賞。「この曲はとても優しい歌だと思います。この曲を歌を歌う度にこう思うんです。この世界がもう少し優しくなって、もう少し優しく愛せるようになって、優しく様々な形の愛を見守ることができれば、と」と、曲名と同名タイトルの、セクシャルマイノリティを描いた映画『刻在我心底的名字』にも触れるコメントを残した。

当日発表された審査員特別賞は、萬芳(One-Fang)と彼女のアルバム作品『給你們』の制作チームへと与えられた。審査員代表の鍾成虎は、今回の賞について「去年からのコロナ禍でたくさんの物事が変わりました。その中でも変わらないのは皆が一生懸命に音楽を作るということです。今年の金曲獎も例年通り開催できるのは、ミュージシャンのエネルギーは相変わらず強烈であることを示しているでしょう。その中でも『給你們』は暖かいメッセージを伝えてくれ、また演奏者の演出と作品が見事に解け合っている、この時代にとても尊い作品です」と、受賞理由を伝えた。1990年のデビュー以来、30年以上も音楽活動を続けてきた彼女は、「『給你們』で伝えたいのは生命の意義です。(過去30年を振り返りながら)、ここ10年再び音楽の仕事に戻ってきた時、この30年の成長過程の中で皆に伝えたいことがあまりにたくさんありすぎたのです」と、作品へ込めた想いも語ってくれた。

また、特別貢献賞は”華語ポップスのゴッドファーザー”と称される羅大佑(Lo TaYou)に与えられた。審査員代表の馬世芳は、「羅大佑によって、一人のシンガーソングライターが詩人の心を持てるということのみならず、思想家、革命家の性質を持つことができるのだと気づきました。一枚の作品が、単なる娯楽ではなく、時代を揺るがす文化的な事件にもなり得るのだと気づきました。これらに気づけたという謝意を以て、羅大佑に特別貢献賞を与えたく思います」とコメント。これを受けて羅大佑本人は、「私が音楽の世界で活動して44年、この特別貢献賞が新人賞と同じく、一生で一度しか手に入れられないものだと気づきました。皆さん一緒に頑張りましょう!このおじさんでさえ歩みを止めていません。ミュージシャン、歌手がどうして立ち止まっていられますか。頑張りましょう!」と、間違いなく台湾の音楽シーンを牽引してきたミュージシャンからの、重みのある言葉を届けてくれた。

羅大佑の受賞とメッセージは、世代を問わず多くの台湾ミュージシャンを確実に鼓舞したと思う。台湾だけで見ると、昨年の同時期に比べて2021年は新型コロナウイルスの感染が広まり、諸外国と変わらない状況に直面している。その影響を大きく受けるミュージシャンは少なくないはず。そんな彼らが歩みを止めず、むしろ新たな一歩を踏み出すきっかけとなり、その結果が来年の受賞者・受賞作品にどう表されるのか。今から期待せずにいられない。

受賞者一覧

■年度アルバム賞

桑布伊 / 《得力量 pulu’em》

■年度楽曲賞

盧廣仲 / 刻在我心底的名字《刻在我心底的名字》

■最優秀中国語アルバム賞

杜振熙 / 《家常音樂》

■最優秀台湾語アルバム賞

曹雅雯 / 《自本》

■最優秀客家語アルバム賞

春麵樂隊 / 《到底》

■最優秀原住民語アルバム賞

漂流出口 / 《海女 Lady of the ocean》

■最優秀MV賞

家常音樂《家常音樂》

■最優秀作曲家賞

HUSH / 安和

■最優秀作詞家賞

葛大為 / 無人知曉(田馥甄)

■最優秀編曲者賞

鍾興民 / 鹹汫《自本》

■最優秀アルバムプロデューサー賞

陳建騏 / 《無人知曉》(田馥甄)

■最優秀シングルプロデューサー賞

方大同 / 麵麵《宅這》(方大同)

■最優秀中国語男性ボーカル賞

杜振熙 / 《家常音樂》

■最優秀中国語女性ボーカル賞

田馥甄/《無人知曉》

■最優秀台湾語男性ボーカル賞

許富凱/《拾歌》

■最優秀台湾語女性ボーカル賞

曹雅雯/《自本》

■最優秀客家語ボーカル賞

羅文裕/《當太陽升起時》

■最優秀原住民語ボーカル賞

桑布伊/《得力量 pulu’em》

■最優秀バンド賞

落日飛車 / 《SOFT STORM 柔性風暴》

■最優秀ボーカルグループ賞

尋人啟事 / 《Dear Adult》

■最優秀新人賞

?te/《A Bedroom of One's Own》

【演奏部門】

■最優秀アルバム賞

《派仔之遊》 / 環球國際唱片股份有限公司

■最優秀アルバムプロデューサー賞

hirsk / 《noista/gia 噪噪噪噪切》

■最優秀作曲家賞

謝燕輝、張德明 / 苦樂《派仔之遊》

■最優秀ジャケットデザイン賞

蕭青陽/《ZETA》

■最優秀歌唱録音アルバム賞

《出沒地帶》 / 孫盛希

■最優秀演奏録音アルバム賞

《派仔之遊》 / 五香放克樂團

■特別貢献賞

羅大佑

作者