台湾のインディーズバンド「五五身」と巡る、桃園・中壢のオススメスポット

Nov-28-2019

台湾「桃園市」、多くの観光客にとっては台北の玄関口「台湾桃園国際空港」のある場所というイメージしか無いかもしれません。台北から鉄道で約30分の距離にある桃園は、台湾の歴史や文化を感じられる観光スポットや、アートとカルチャーに触れられるスポットなど、見どころ盛りだくさん。さらに、台湾美食が味わえる美味しいお店もたくさんあります。

そして、桃園発のインディーズバンドといえば、台湾のオルタナティブフォークを代表するバンドとして活躍する「五五身(Fiftybodyfifty)」。五五身は、独特のジャンルと魅力的なステージ表現で注目され、現在、台湾の若者を中心に人気急上昇中のインディーズバンドです。

今回、Taiwan Beatsは、桃園中壢にある中央大学で知り合い、バンドを結成した「五五身」のメンバーと一緒に桃園を巡り、彼らの学生時代の思い出がいっぱい詰まった中壢のインディーズカルチャースポットを取材しました。空港だけじゃありません!桃園の魅力をご紹介します。

_____________________

|Voice 深夜唱片行

左から、冠彣(ベース)、Kilo(ジャンベ)、大太(ギター)、雞毛(ギターボーカル)。

デザイン学部で有名な中原大學があり、文化的な雰囲気の学生街「中原大学エリア」。ここは、活気のある中原夜市を中心に、学生が集まるお洒落で個性的なショップや、可愛いカフェ、アパレルショップなどが並んでます。

中原大學の裏路地にある「Voice深夜唱片行」は、元眷村*の建物を改築した深夜レコード屋、兼バーです。1900〜1970年代のサイケデリックロックやブルースの中古盤を取り揃え、地元産クラフトビールも味わえるこの店は、インディーズ文化の集合地点として地元の人々に愛されています。時にはライブイベントを開催し、かつては映画、社会問題やアジア圏文化をテーマにる深夜限定の講座が行われていた場所でした。

雞毛(Vo.):中央大学からここまでは少し距離があるので、学生時代、僕はあんまり来られる機会がなかったんですが、Voice唱片行のオーナー忠敏さんと出会って、インディーズ文化についてたくさん教えていただきました。そこから、レコードの世界に足を突っ込みました。

冠彣(Bass.):大学のギターサークルとして活動するだけのカバーバンドから、今の五五身になることができた僕らのターニングポイントは、 Voiceでライブをした、あの日だったと思います。Voiceは、僕らとインディーズ文化を繋げてくれた大事な場所です。

店内のレンガ塀には、かつて出演したアーティストや地元文化人のサイン。

「Voice深夜唱片行」オーナーの陳忠敏銘(チェン・ゾンミンミン)

*眷村:眷村(けんそん)、軍人村とも呼ばれる。第二次世界大戦後、中国の国民党軍が台湾統治のため移住してきた際に建てた集合住宅。

Voice 深夜唱片行

連絡先:03-3354-1441
住所:桃園市中壢區環中東路708巷88號
営業時間:18時~26時(月曜定休)
アクセス:台鐵『中壢駅』改札を出て、左側へ『中壢客運』バスターミナルより路線『112北』へ乗り換え。『中原大學』停留所で降りて、中原大學方面へ徒歩15分。スペースデザイン学部の恩慈小門という入口の正面、路地に入ってすぐ左側。
公式アカウント:https://www.facebook.com/groups/252558281483792/
_____________________

|用心素食

2017年にリリースされたファーストアルバム「再一次雄性浪漫」の中の1曲、「北上巴士」には、中壢の想い出が鮮やかに描かれていて、母校の中央大学近くの民族路も歌詞に歌われています。
続いて4人が案内してくれたのは、民族路にあるベジタリアンレストランの『用心蔬食』です。

大太(Gt.):五五身メンバーのうち2人はベジタリアンだから、練習後、よくここに立ち寄りました。とても美味しくて、値段は安いんです。みなさんも是非一度、来てみてほしいお店です。

雞毛(Vo.):今まで食べたベジレストランの中に一番だと思います。最初、サークルの先輩たちに連れて来てもらった時は、びっくりしました。ベジフードがこんなに美味しく食べられるなんて、その時に初めて知りました。そして、この抜群に破壊力のあるボリューム。最高です。

用心素食

連絡先:(03) 281 2045
住所:桃園市民族路260號
営業時間:[ランチ] 11時〜14時 / [ディナー] 17時〜20時30分(火曜定休)
アクセス:台鐵『中壢駅』改札を出て、左側へ『中壢客運』バスターミナルよりバス(『131』、『132』、『172』、『701』経由)へ乗り換え、『仁愛新村』停留所から徒歩3分。
_____________________

|Groupies Records 奮死唱片

バスに乗って、再び中壢駅前エリアへ戻った五五身の4人は、駅前から徒歩3分圏内にある『Groupies Records 奮死唱片』にやってきました。このお店で扱っているレコードは、状態が良いという評判が高く、ロックやポップス、ジャズ、クラシックなど幅広いジャンルの品が揃います。

ドリンクと台湾ブランドのアイスバーも提供している『Groupies Records 奮死唱片』。光が差し込む明るい店内は、きれいに整理され、掃除の行き届いた清潔感があります。かといって気難しい雰囲気は一切ないので、時間をかけてゆっくりディグることができます。

気に入りのレコードを探し始めるメンバー。

五五身の最新作「人類空虛簡史」も販売しています。

Groupies Records 奮死唱片

連絡先:(03) 427 2732
住所:桃園市中壢區中平路30號3F
営業時間:平日:17時〜22時 / 土日:15時〜22時(不定休)
公式アカウント:https://www.facebook.com/GroupiesRecords/
_____________________

五五身の4人にとって、数年ぶりに見るの中壢の街並み。駅前に並んでるタクシーの風景を眺めながら、学生時代の思い出話を聞かせてくれました。ステージ上の表情とは全く違う、素の4人を垣間見れた気がしました。

_____________________

五五身 Fiftybodyfifty

2012年桃園・中壢で結成、台湾のオルタナティブフォークを代表するバンドとして活躍する4ピースバンド。メンバーは雞毛(ギターボーカル)、大太(ギター)、冠彣(ベース)、Kilo(ジャンベ)。大学圏内のライブハウスから活動開始、2013年のBeastie Rock 巨獸搖滾で大型フェスに初出演。同年4月、ファーストEP「我是猛禽」発表。その後、春天吶喊、StreetVoice Park Park Festival、覺醒音樂祭、大港開唱など、フェスの常連アーティストとして、複数のフェス・サーキットイベントへ出演。

2017年9月、ファーストフルアルバム「再一次雄性浪漫」をリリース。同作品が2018年第8回の金音創作獎 (全国インディーズ音楽大賞)最優秀アルバム賞(フォーク部門)を受賞し、さらにシンガポールFreshMusicAwards 最優秀新人賞を受賞。2019年、4曲入りのセカンドEP「人類空虛簡史」を発表。
_____________________

テキスト.インタビュー:KEI(東京兜圈 Megurin’ Tokyo)
撮影:Jeanie Tsai
日本語校正:黒田羽衣子